ダンスを即興で踊るための練習方法【即興のコツも解説】

Column
Ryuhei
Ryuhei

こんにちは、現役ダンサーのRyuheiです。
今回は、下記の疑問にお答えしていきます。

  • ダンスを即興で踊ってみたいんだけど、どんな練習をしたらいいの?
  • 即興でも上手に踊るコツは?

僕はふだんから「音楽を即興で表現すること」を念頭にダンスの練習をしており、ダンスバトル等の大会にも数多く参加しています。

とはいえ、そんな僕も、最初はダンスを即興で踊ることができず苦手意識をもっていました。

経験とともに、いまでは即興で踊ることが当たり前のようになっているので、今回は、僕がどうやって即興でも踊れるようになったのか、そのノウハウをまとめてみました。

「ダンスを即興で踊れるようになりたい」「即興で踊るときのコツを知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

ダンスの即興が苦手な原因とは?【〇〇を捨てよう】

「即興で踊ることが苦手だ」と感じてしまう原因、それは「上手に踊ろう」という気持ちが、いざ踊る瞬間にもあることです。

のちほどくわしくお話ししますが、実は、即興でも上手に踊れる人は、上手に見せるために何かを考えて踊っているのではなく、「何も考えずに踊っている」のです。

たしかに、「即興でも上手に踊れるようになりたい」という気持ちは、ダンスをやっている誰しもにあります。

しかし、いざ踊るときに「上手に踊ろう」という気持ちがあると、

  • 考えながら踊ってしまうので流れが悪い
  • 音楽が聴けなくなってリズムにあわせられない
  • 自分自身でもできてないことに気づいて焦る

こういったことが起こります。

以前の僕もそうでしたが、何かを考えながら踊っているうちは、上手に踊ることはできません。

まずは、「上手に踊ろう」という気持ちを捨てることからスタートです。

誤解しないでほしいのですが、「上手に踊りたいという気持ちをもつな」の意味ではなく、あくまで「いざ踊る瞬間は捨てようね」という話です。

即興ダンスが上手くなるために重要なこと

結論、即興でも上手に踊れるようになるためには、無意識レベルでできる動き(ボキャブラリー)を増やすことが重要です。

無意識レベルとは、頭を使わなくても音楽を聴いたら反射的にからだが動く状態のこと。

たとえば、熱湯を手でさわったら頭で考えなくても「熱っ!」と手を引っ込めますよね。

おなじように、ダンスを即興で踊っている人は、音楽を聴いたら反射的にステップを踏んだり不思議な動きをやったりしているのです。

Ryuhei
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よくある勘違いで、即興で踊っていると「アイディアがたくさん出てくるのすごい」という方がいますが、実際は、つぎつぎにアイディアを出しているのではなく、音楽を聴いたらからだが勝手に動いています。

いざ踊る瞬間は「音楽」に集中

「無意識レベルの動きがどれだけできるか?」が重要な理由は、即興で踊るときに意識を向けるのは「動き」ではなく「音楽」だからです。

実際、僕が即興で踊るときには「つぎはこうして、そのつぎはこうして」と考えて動いているわけではありません。

音楽を聴いたら反射的にからだが動いているのです。

くりかえしますが、「上手にやろう!」と無理にアイディアを出そうとすると、焦ったり音楽が聴けなくなったりします。

つまり、即興でも上手に踊りたいのなら、音楽を聴いたら反射的に動きが出てくるまで練習しなければならないということです。

無意識レベルにするには「反復練習」が必須

無意識レベルの動きを習得するには「反復練習」がなによりも重要です。

というのも、意識的に反復練習をすると、すこしづつ無意識にでもステップができるようになるからです。

無意識になるまでのフロー
  • フロー1
    基礎やステップを知る
    あのステップかっこいい!
  • フロー2
    やり方を理解する
    どうやってやるんだろう?
  • フロー3
    練習してできるようになる
    できた!
  • フロー4
    反復練習する
    会話しながらでもできる!
  • フロー5
    無意識にやってる
    気づいたらやってた!

上記のように、即興で踊るには、動きを反復練習して無意識レベルにすることが重要です。

無意識レベルになるまでそれなりに時間はかかりますが、あきらめずに練習すれば、誰でも即興で踊れるようになります。

どんなことを反復するのか?

それは、下記の4つです。

  1. 基礎練習
  2. ステップ練習
  3. 振り付けの練習
  4. フリー(即興)で踊る練習

なお、①〜③については、それぞれ別の記事・動画でしっかり解説しているので、下記を参考にしてください。

参考記事一覧
  • 基礎の内容を知りたい方はこちら
  • 基礎の実践動画を見たい方はこちら
  • ダンスステップの一覧はこちら
  • ヒップホップダンスの振り付けはこちら

本記事では、これから④の“フリー(即興)で踊る”の部分についてくわしく解説していきます。

ダンスを即興で踊るための練習方法

以下、4つの手順です。

  • STEP1:知ってる曲を知ってる動きで踊る
  • STEP2:オンビートのリズムキープを意識
  • STEP3:リズム取りや動きを応用して楽しむ
  • STEP4:何も考えずに踊ってみる

全体の流れについて補足すると、

  • STEP1~3では、考えながらできることを増やし
  • STEP4では、音楽に集中し無意識に踊ってみる

という感じです。

即興でも上手に踊れるようになるには、この4STEPを何度も反復することが大切かなと思っています。

では、各ステップについてくわしく解説していきます。

動画解説はこちら

4つの練習方法については動画でも解説しています。動画のほうがわかりやすい部分もあるかと思うので、記事とあわせてご覧ください。

①知ってる曲を知ってる動きで踊る

即興で踊るための練習方法
  • STEP1
    知ってる曲を知ってる動きで踊る
    ↑いまココ
  • STEP2
    オンビートのリズムキープを意識する
  • STEP3
    リズム取りや動きを応用して楽しむ
  • STEP4
    何も考えずに踊ってみる

まず最初の目標は、自分の知っている曲を即興(アドリブ)で踊れるようになることです。

なぜ知っている曲かというと、知らない曲とくらべてリズムに動きをあわせやすかったり、曲に入りやすかったりするからです。

選曲は自分の好きな曲で良いですが、テンポがはやすぎたり、リズムが取りにくかったりする音楽だと難易度があがるので、ゆっくりめの音楽を探してみると良いかなと思います。

ルールは「知ってる動きで踊ること」

さっそく曲にあわせて踊っていくわけですが、ルールがひとつだけあります。

それは、知っている動きの範囲内で踊ること。

たとえば、ダンスの基礎である「ダウン」や基本ステップの「ランニングマン」など、知っている動きだけで踊るようにします。

動画では「ツーステップ」などを例にしていますが、実際の練習ではいろんなステップで練習してみましょう。

このルールをなぜ設定するのかというと、やみくもに踊っても「なにをやってるのかわからない」という感じで、踊りきってしまうからです。

もちろんそれも即興といえば即興ですが、自分がなにをやってるのかわからないものは、ほかの人が見てもなにをやってるのかわかりません。

まずは、形のある基本的な動きを使って踊ってみましょう。

あらかじめ、使うステップを3つくらい決めて、その3つを使って踊ってみるのもOKです。※たくさんありすぎても迷うので、3つくらいがオススメ。

考えて動いても音を聴けなくても良い

「即興で踊るときは反射的にからだを動かすことがポイント」と言いましたが、練習の段階では、つぎの動きを頭で考えたり、動きに集中して音が聴けなくなったりしてもOKです。

もちろん理想は音楽に集中して反射的に動くことですが、それがいきなりできるようになることはありません。

最初は、いろんな失敗をしながらも、とにかくからだを動かしていきます。

Ryuhei
Ryuhei

僕も最初は、つぎの動きが出てこなかったり、ずっとおなじことをくり返したり、いろんな失敗をしました(いまもしてます)。しかし、失敗を何度もくり返していくと、自由に動くことに慣れていきます。無意識でもからだが動くようになるには、考えながらでもとにかくからだを動かすことが大切ですよ。

②オンビートのリズムキープを意識する

即興で踊るための練習方法
  • STEP1
    知ってる曲を知ってる動きで踊る
  • STEP2
    オンビートのリズムキープを意識する
    ↑いまココ
  • STEP3
    リズム取りや動きを応用して楽しむ
  • STEP4
    何も考えずに踊ってみる

このステップでは、オンビートのリズムキープを意識して踊っていきます。

オンビートとは、音楽の表伯のこと。ダンスでは「ワン、ツー、スリー」のように数字で数える部分。

練習内容は、ステップ①でやったことに加え、さらに「オンビートのリズムキープ」を意識する感じです。

即興で踊るときは、音楽に集中することが重要なポイントですが、まずは音楽のうちの「オンビート(表伯)」に意識を向けて踊ります。※選曲は好きな音楽でOK。

実は、このステップがいちばん重要だと僕は思っています。

というのも、聴こえた音楽を100%動きで表現しようとすると、ごちゃごちゃしたり、なにをやっているのかわかりにくかったりするからです。

たとえば、下記のように音が細かい曲。

この曲で聴こえる音すべてを表現するのはかなり大変です(あくまで個人的には)。
あと、気持ちがハラハラして落ち着かないかなとも思います(あくまで個人的には)。

というわけで、即興に慣れていない方はまず、音楽の「オンビート」に集中して、オンビートのリズムキープを意識しながら踊る練習をします。

「ダウン」を入れてみよう

オンビートをキープする方法でいちばんカンタンなのは、ダンスの基礎である「ダウン」を入れることです。

ダウンとは、音楽の表拍にあわせて、ひざを曲げる動き。くわしいやり方はこちら

たとえば、ステップ①で「クラブステップ」や「ランニングマン」を使ったのであれば、クラブやランニングマンをダウンの動きで踊ります。

ポイントは、ステップをやってる瞬間だけダウンを入れるのではなく、曲が流れているあいだはつねにダウンをキープすることです。

リズムキープを意識すると、一定のリズムを感じられるようになるので、自分自身も気持ちよいですし、見ている人にもリズムが伝わるようになります。

慣れてきたらほかの動きでもリズムキープ

リズムを取る基本的な動きには「ダウン」以外にも「アップ」「前後ノリ」などがあります。

それらを使ってリズムキープの練習をしておくと、曲調にあわせてノリを変えることができるので、いろんなバリエーションを試してみるとよいですね。

基本的なリズム取りの動きは下記の記事にまとめているので、こちらを参考にしてみてください。
【基本】ダンスのリズム取りを解説【苦手意識をなくす方法あり】

③リズム取りを応用して楽しむ

即興で踊るための練習方法
  • STEP1
    知ってる曲を知ってる動きで踊る
  • STEP2
    オンビートのリズムキープを意識する
  • STEP3
    リズム取りや動きを応用して楽しむ
    ↑いまココ
  • STEP4
    何も考えずに踊ってみる

ダンスのリズム取りには、さまざまな種類があります。

たとえば、一般的なリズムの取り方には「8ビート」が使われ、STEP2でも「8ビート」でリズムキープをしていました。

ほかのリズム取りだと、「4ビート」や「16ビート」「32ビート」「3拍子」などいろいろあるのですが、ここではそれらのリズム取りを使って、動きに「ため」を作ったり「2倍速」にしたりと、応用していきます。

Ryuhei
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本記事では、4ビートや16ビートなどのリズムの取り方についてはくわしくふれないので、よくわからないという方はこちらを参考にしてください。
【基本】ダンスのリズム取りを解説【苦手意識をなくす方法あり】

話を戻します↓

リズム取りを応用するメリットは、ダンスに抑揚をつけられることです。

実は、STEP2までの「8ビート」でも十分即興で踊れるようになるのですが、とはいえ、リズムの取り方が「8ビート」だけなので、ダンスが単調になってしまいます。

もちろん、まずは単調でも踊れることが最優先ですが、8ビートで踊ることに慣れた方は、リズムの抑揚を意識してみましょう。

これができるようになると、ダンスの楽しさが倍増します。

具体的な方法は、動画をみていただいたほうがわかりやすいので下記をご覧ください。

動画のような感じで、動きをはやくしたり、ためを作ったりと、リズムに抑揚をつけるイメージです。

正解や不正解があるわけではないので、リズムで遊ぶ感覚をつかんでみましょう。

動きの回数や向きも工夫してみよう

これは、たとえば、クラブステップを左右に1回ずつやっていたのなら、右1回→左1回→右2回のように変えてみる、ということです(よく「シングルシングルダブル」と言われる)。

あとは、右2回→左2回(ダブルダブル)とか右4回→左4回とかもできますね。

Ryuhei
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振り付けを作るときにも、シングルシングルダブルやダブルダブルのパターンはよく使われるので、覚えておくと良いですよ。

というわけで、リズムの取り方や動きを工夫できるようになると、即興で自由に踊ることが楽しくなって苦手意識はなくなっていきます。

初心者の方はまず、頭を使っても音が聴けなくなってもいいので、失敗を恐れず即興で踊ることを楽しめるようになりましょう。

④何も考えずにいろんな曲で踊ってみる

即興で踊るための練習方法
  • STEP1
    知ってる曲を知ってる動きで踊る
  • STEP2
    オンビートのリズムキープを意識する
  • STEP3
    リズム取りや動きを応用して楽しむ
  • STEP4
    何も考えずに踊ってみる
    ↑いまココ

冒頭にお話しした、音楽に集中して反射的にからだが動いている状態がこの段階です。

いままではオンビートキープやリズムの応用に頭を使ってきましたが、ここでは、音楽を聴くことだけに意識を向けて踊ってみます。

また選曲も、知っている曲だけでなく、テンポのはやい曲や歌詞のない曲など、いろいろなパターンで練習します。

動画を撮ってみて改善点を見つける

何も考えずに踊ってる様子を動画に撮ってみると、

  • なにやってるのかわからない
  • リズムがぜんぜん取れてない
  • 焦って動きを詰めすぎてる

といった、反省点が見つかります。

そしたらまた、ステップ③までの練習に戻ってみるわけですが、そのときは反省点を頭に入れながら練習をします。

  • ステップをはっきりやろう
  • もっとリズムキープを意識しよう
  • 落ち着いて動いてみよう など

意識と無意識をくり返す

このように、STEP3までの段階で、意識的にできることを増やす練習をしたら、STEP4で無意識に踊っている自分の様子をたしかめ、また意識的に練習をする。

即興でも上手く踊れるようになるには、このサイクルをたくさんおこなうことが大切です。

ダンスを即興で踊れるようになるためのコツ

以下のとおりです。

  1. ふだんから音楽を聴く
  2. 音楽のリズムで遊ぶ
  3. ほかのダンサーをたくさん見る
  4. シンプルに踊る
  5. リラックス

こちらもくわしくお話ししていきます。

①:ふだんから音楽を聴く

まずはふだんから音楽を聴くようにしましょう。

ふだんから音楽を聴いていると、音楽を聴いた瞬間にリズムにのるようになるので、即興で踊るときも無意識にリズムを取れるようになります。

これまでに音楽を聴く習慣がなかった方は、まずは意識的に音楽を聴く習慣を作ってみましょう。

②:音楽のリズムで遊ぶ

ふだん音楽を聴いているときから、リズムで遊ぶ感覚をもってみるとさらに音楽を楽しめます。

たとえば、本記事で紹介した「ため」「16ビート」を感じてみたり。

「この曲はこんなふうに踊ってみたいな」というイメージがもてるようになると良いです。

実際にからだを動かさなくても、「音楽のリズムやイメージがつかめるかどうか」という点では、音楽を聴くことも練習の1つとも言えますね。

③:ほかのダンサーをたくさん見る

ほかのダンサーの踊りを見るメリットはたくさんあります。
たとえば、下記です。

  • 動きを盗める
  • 音楽の聴き方が参考になる
  • モチベーションが上がる

身近にダンサーがいるならその踊りを直接見ることが理想ですが、それができないようなら「ダンス動画」をたくさん見るのもオススメです。

Ryuhei
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僕もダンスをはじめたころは、暇さえあればダンス動画を見ていました。ほかのダンサーから刺激を受けることは超重要です。

④:シンプルに踊る

いざ踊るときのコツです。

シンプルに踊るとは、ステップや技をつめこみすぎずに、「1つ1つをはっきり見せよう」ということです。

音楽に集中すると、楽器の音やボーカルの声など、さまざまな音を聴くことができます(それ自体は良いことです)。

しかし、すべての音を表現しようとすると、動きをつめこみすぎてしまい、結果的に「どの音を表現してるの?」となります。

聴こえてくる音楽のうち、「どの音を取っているのかはっきり見せること」。これを意識しましょう。

⑤:リラックス

即興で踊るときには、いつも以上にリラックスすることを意識しましょう。

それは、振り付けを踊るときとはちがって、即興だと、いつも以上に力が入るからです(緊張しやすい方は特に)。

振り付けなら、まえもって練習して心の準備ができますが、即興の場合はそうもいかないですね。

むだに力んでいると、動きがかたくなりダンスが小さく見えてしまいますし、音楽をよく聴くこともできなくなります。

息を吐いて、ふだん以上にリラックスすることを意識しましょう。

Q&A)即興で踊るとき何を考えてる?

すでにお話ししたとおり、踊っている瞬間は音楽に集中しているので、「何も考えていない」が正しいかと思います。

しかし実をいうと、最近の練習では、自分の心の声も聴くようにしています。

心の声とは、流れている音楽を聴いたときに「自分がどう感じているか」です。※もちろん大前提は音楽を聴いていること。

たとえば、「この音楽ではこのリズムで踊りたいな〜」とか「この音楽をどう踊ったら音楽を引き出せるかな〜」とか、音楽を聴きながら自分自身と会話してるイメージです。

ちょっとわかりにくいかもですが、最近は、音楽を聴きながら心の声も聴いて、音楽を引き出すイメージで練習しています。

とはいえ、大前提は「音楽を聴くこと」ですね。

まとめ:ダンスを即興で踊るのは楽しい

ダンスを即興で踊ることに、最初は抵抗や苦手意識があり、結果がつくものだとなおさらうまく踊れなくなってしまいますね。

とはいえ、大切なのはダンスや音楽を楽しむことです。

そもそも、即興で踊ることに正解はありません。
強いていうなら、音楽を聴いたままに自分らしく表現することが正解です。

技術や結果がどうあれ、即興で踊ることを楽しめるようになると、ダンスの楽しさも格段に広がるので、自分らしく楽しんでみましょう。

というわけで、今回はここまでとなります。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。